ものを作る過程は、本当に楽しい。『完成したときの喜び』とよく表現されるけれど、①それは違うと僕は思う。そもそも、ものを作って感じることの一つは、『完成した』という瞬間がいったいいつなのかわからない、という事実である。②完成したことがわかるのは、誰かに頼まれて作っているもの、つまり依頼された仕事である、そういうものは、これなら引き渡せる、要求された水準を満たしているだろう、という鏡界線がぼんやりとでも設定されているから、そこが『完成』になる、そしてこの場合は、労働から解放される喜びがあるし、達成感もあるだろう、レース(注1)でゴールをするのと同じだ。あそこまで走りなさい、というルールがあらかじめ設定されているからだ。しかし、自分が初めて作るもの、自分が自分の欲求で作り始めたものは、そういったゴールがはっきりとしていない、このことは、ものを作る場合以外でも同じである、たとえば、研究がそうだ。知りたいことを知ろうとする行為は、作りたいものを作ろうとする行為と限りなく似ている。好奇心(注2)に從って、こつこつと進む過程は、本当にわくわくして楽しい。けれど、どこまで進んでも、『やった!』といった達成の瞬間は訪れない。ゴールなんてどこにもない。ただ、過去を振り返って、『ああ、だいたいあのときが、完成した時期になるかな』というくらいの『一段落』が見えるだけである。(森博嗣『創るセンス工作ん思考』による)(注1)レース:競争(注2)好奇心:新しいに対する興味
①(それ)とは何か。
A.ものを作る過程は本当に楽しいということ
B.ものが出来上がったときはうれしいということ
C.もの作りを頼まれたときは喜びを感じるということ
D.ものを作るときも完成したときもうれしいということ
参考答案:B
解析:解析:本题考查的是指代关系。「それ」此处为承前指示,指代的是前半句中提到的「完成した時の喜び」。因此可知答案是选项2:完成某件东西时觉得很开心这件事。